雑穀たちの壮大な物語と栄養のちから

日本人の命をつないできた伝統の穀物から、世界が注目するスーパーフードまで幅広く多種多様な雑穀。知っているようで知らない、雑穀の深い世界。このページでは、もちキビ、ヒエ、キヌア、アマランサス、高キビ、アワ、粒ソバ、エゴマについて栄養・歴史・特徴を簡単にご紹介します。

もちキビ(黍):黄金色に輝く「五穀の長」と桃太郎の伝説

もちキビ(黍)のイメージ

きびはイネ科の一年草の雑穀で、五穀の一つとされています。もちキビの歴史は古く、紀元前数千年の古代中国や中央アジアにまで遡ります。中国最古の詩集『詩経』にも登場し、当時は米や麦よりも高貴な「五穀の長」として、皇帝の祭祀に捧げられる最高級の穀物でした。

日本においては、誰もが知る童話『桃太郎』の「きび団子」がその象徴です。かつて山深い地域や水不足に悩む地域において、キビは短期間で収穫できる貴重なエネルギー源でした。鬼退治という過酷な旅に同行させる仲間の報酬として選ばれた背景には、その高い栄養価への実感があったと考えられます。

卵のようなコクがあることから、現代では「エッグミレット」としても注目されています。

栄養素(100gあたり)
エネルギー353kcalタンパク質10.6g
脂質4.4g食物繊維1.7g
ビタミンB10.28mgビタミンB20.08mg
ビタミンB60.38mg葉酸24μg
カルシウム10mg鉄分2.1mg
マグネシウム84mgリン240mg
カリウム210mg亜鉛2.7mg

つぶつぶ品川教室(東京・高輪) では、こうした雑穀や種実を日々のベジタリアン料理・ヴィーガン料理へ取り入れる考え方も学べます。

ヒエ(稗):縄文の記憶を宿す「不屈の救荒食物」

ヒエのイメージ

ヒエはイネ科ヒエ属の多年草の雑穀で、五穀の一つとされています。栽培化が行われたのが東アジアと推測されており、日本列島における農耕の原風景を象徴する雑穀です。縄文時代中期の遺跡から多くの種実が発見されており、稲作が本格化する以前の日本人の主食でした。

その最大の特徴は、他の穀物が全滅するような長雨や冷夏でも平然と実を結ぶ不屈の生命力にあります。江戸時代から明治にかけて東北地方などを襲った飢饉の際、人々の命をつないだ救荒作物として知られます。

現代では、白身魚のような食感から「フィッシュミレット」とも呼ばれ、アレルギー対応食や美容食として再評価されています。

栄養素(100gあたり)
エネルギー354kcalタンパク質9.7g
脂質3.7g食物繊維4.3g
ビタミンB10.27mgビタミンB20.05mg
ビタミンB60.33mg葉酸17μg
カルシウム4mg鉄分1.1mg
マグネシウム110mgリン280mg
カリウム250mg亜鉛2.0mg

つぶつぶ品川教室(東京・高輪) では、こうした雑穀や種実を日々のベジタリアン料理・ヴィーガン料理へ取り入れる考え方も学べます。

もちアワ・うるちアワ(粟):格差社会を生き抜いた「繊細なる真珠」

もちアワ・うるちアワ(粟)のイメージ

アワはイネ科エノコログサ属のの多年草の雑穀で、五穀の一つとされています。ウルチ種とモチ種があり、穀粒の色も白、橙、黄、赤などたくさんあります。アワの栽培史はキビよりも古く、約1万年前の古代中国・黄河流域に起源を持つとされます。日本でも地名に「あわ」が残るほど広く根付いてきました。

江戸時代には、粘りのないうるちアワは庶民の日常食として、もっちりしたもちアワはハレの日の「あわ餅」や上流階級の贅沢品として区別されていました。

現代では、やさしい味わいと鉄分を含む穀物として見直されています。

栄養素(100gあたり)
エネルギー351kcalタンパク質11.2g
脂質4.4g食物繊維3.4g
ビタミンB10.34mgビタミンB20.08mg
ビタミンB60.42mg葉酸37μg
カルシウム11mg鉄分4.8mg
マグネシウム110mgリン290mg
カリウム240mg亜鉛2.7mg

つぶつぶ品川教室(東京・高輪) では、こうした雑穀や種実を日々のベジタリアン料理・ヴィーガン料理へ取り入れる考え方も学べます。

高キビ(たかきび):シルクロードを渡った「大地のミート」

高キビ(たかきび)のイメージ

たかきび(高黍)は、熱帯アフリカ原産のイネ科雑穀です。キビは五穀の一つとされています。アフリカ原産で、紀元前後にシルクロードを経由して中国、そして日本へ伝わったとされます。別名として「モロコシ」や「コーリャン」と呼ばれ、お米ほどの大きさの作物です。

日本では、その赤い色が魔除けを連想させ、お祭りの供え物としても大切にされてきました。弾力のある食感から、昔も今も満足感のある食材として親しまれています。

現代では植物性の”ミート感(ミートミレット)”を持つ穀物として、ベジタリアン料理やヴィーガン料理にも取り入れやすい存在です。

栄養素(100gあたり)
エネルギー346kcalタンパク質10.3g
脂質4.7g食物繊維6.7g
ビタミンB10.36mgビタミンB20.10mg
ビタミンB60.39mg葉酸38μg
カルシウム7mg鉄分2.6mg
マグネシウム130mgリン310mg
カリウム340mg亜鉛2.2mg

つぶつぶ品川教室(東京・高輪) では、こうした雑穀や種実を日々のベジタリアン料理・ヴィーガン料理へ取り入れる考え方も学べます。

アマランサス:帝国の滅亡を招いた「神の贈り物」

アマランサスのイメージ

アマランサスは、ヒユ科ヒユ属の植物から収穫される凄く小さな種子で、ぷちぷちした歯ごたえと食感が特徴です。アマランサスは、5,000年前の南米アステカ文明において、トウモロコシや豆と並ぶ主食の一つとして神聖視されていました。

しかし16世紀、スペイン人の征服により信仰との結びつきを危険視され、栽培が厳しく禁じられました。それでもアンデスの奥地で種が守られ、20世紀後半にその栄養価の高さから再発見されます。

ベジタリアン料理やヴィーガン料理に関心のある初心者層からは、スーパーフードとして認知されやすい食材です。

栄養素(100gあたり)
エネルギー358kcalタンパク質12.7g
脂質6.0g食物繊維7.4g
ビタミンB10.04mgビタミンB20.14mg
ビタミンB60.58mg葉酸130μg
カルシウム160mg鉄分9.4mg
マグネシウム270mgリン540mg
カリウム600mg亜鉛5.8mg

つぶつぶ品川教室(東京・高輪) では、こうした雑穀や種実を日々のベジタリアン料理・ヴィーガン料理へ取り入れる考え方も学べます。

キヌア:アンデスが抱く「母なる穀物」の復活劇

キヌアのイメージ

キヌアはヒユ科・アカザ属の植物から収穫される小さな種子で、もちもちした食感です。キヌアは「穀物の母」を意味し、インカ帝国で神聖視された作物です。皇帝が黄金の杖で最初の種をまく儀式があったとも伝えられています。

スペイン人の征服以降は栽培を禁じられた時代もありましたが、高地の厳しい環境ではキヌアだけが強く生き残りました。1990年代にNASAが将来有望な食材としてスーパーグレインと言及したことでも注目を集めました。

食物繊維とカルシウムが豊富で、ベジタリアン料理やヴィーガン料理を始める方にとって、最初に出会いやすいスーパーフードの一つです。

栄養素(100gあたり)
エネルギー344kcalタンパク質13.4g
脂質3.2g食物繊維6.2g
ビタミンB10.46mgビタミンB20.20mg
ビタミンB60.46mg葉酸190μg
カルシウム46mg鉄分4.3mg
マグネシウム210mgリン390mg
カリウム580mg亜鉛2.8mg

つぶつぶ品川教室(東京・高輪) では、こうした雑穀や種実を日々のベジタリアン料理・ヴィーガン料理へ取り入れる考え方も学べます。

粒ソバ(そばの実):麺以前の姿、9,000年の記憶

粒ソバ(そばの実)のイメージ

粒そば(そばの実)は、タデ科ソバ属の一年草の栄養価の高い雑穀です。私たちがよく知る蕎麦麺の歴史は比較的新しく、それ以前の長い時代、日本では粒のままのそばが食べられてきました。高知県の遺跡からは9,000年以上前の花粉も見つかっています。

山岳地や痩せた土地でも育つ作物として、祖先の暮らしを支えてきました。粒のまま食べることで、ルチンなどの成分を効率よく摂るという考え方も現代的な価値につながっています。

「ポークミレット」とも呼ばれるほどタンパク質と脂肪分に富み、疲労回復や美肌に良いビタミンB群も豊富です。もちもちした食感と香ばしさが特徴で、ひき肉の代わりとして幅広く料理に活用できます。

栄養素(100gあたり)
エネルギー343kcalタンパク質12.0g
脂質3.1g食物繊維3.7g
ビタミンB10.46mgビタミンB20.15mg
ビタミンB60.48mg葉酸42μg
カルシウム17mg鉄分2.8mg
マグネシウム210mgリン400mg
カリウム410mg亜鉛2.4mg

つぶつぶ品川教室(東京・高輪) では、こうした雑穀や種実を日々のベジタリアン料理・ヴィーガン料理へ取り入れる考え方も学べます。

エゴマ:縄文から続く「十年長生き」の聖なる油種

エゴマのイメージ

荏胡麻(エゴマ)はシソ科の一年草です。エゴマは現代では油の原料として知られますが、その歴史は縄文時代まで遡ります。遺跡から多くの種子が出土しており、脂肪源・タンパク源としてだけでなく、染料や灯火の材料としても用いられてきました。

東北地方では「食べると十年長生きする」という言い伝えから「じゅうねん」とも呼ばれます。現代ではα-リノレン酸が豊富で体内で生成できない必須脂肪酸(オメガ3)が非常に多く含む種実として再評価されています。「畑の青魚」とも呼ばれ実際に魚のような香りが少しします。

日本の食文化と結びついた、栄養豊富な食材です。

栄養素(100gあたり)
エネルギー534kcalタンパク質17.7g
脂質43.4g食物繊維17.5g
ビタミンB10.35mgビタミンB20.23mg
ビタミンB60.54mg葉酸94μg
カルシウム390mg鉄分16.0mg
マグネシウム230mgリン520mg
カリウム440mg亜鉛4.1mg

つぶつぶ品川教室(東京・高輪) では、こうした雑穀や種実を日々のベジタリアン料理・ヴィーガン料理へ取り入れる考え方も学べます。

黒米(くろまい):皇帝と楊貴妃が独占した「禁断の不老米」

黒米(くろまい)のイメージ

黒米はイネの栽培品種のうち、玄米の種皮または果皮の少なくとも一方にアントシアニン系の紫黒色素を含む品種です。稲の原種に近い古代米のもち種の一種です。古代中国では滋養の高さから皇帝への献上品とされ、庶民が口にしにくい特別な米でもありました。

楊貴妃が食べていたという伝説も残っており、日本でも神社の供え物や慶事の米として扱われてきました。炊飯時に現れる紫色はアントシアニンというポリフェノールによるものです。

古代米らしい個性と栄養、現代の食卓にも映える美しさをあわせ持っています。

栄養素(100gあたり)
エネルギー337kcalタンパク質6.8g
脂質2.7g食物繊維3.0g
ビタミンB10.35mgビタミンB20.06mg
ビタミンB60.40mg葉酸31μg
カルシウム12mg鉄分1.2mg
マグネシウム130mgリン310mg
カリウム240mg亜鉛2.0mg

つぶつぶ品川教室(東京・高輪) では、こうした雑穀や種実を日々のベジタリアン料理・ヴィーガン料理へ取り入れる考え方も学べます。

※ 栄養素データは、文部科学省が公表している「日本食品標準成分表」の数値をベースに、一般的な栄養価情報を参照して作成していますが、数値は収穫時期や産地、精製度合いによって多少の変動があるため、あくまで「目安の栄養価」としてください。